NEWS お知らせ
2023.08.09

木材製品を選ぶことはエシカル消費?

エシカル消費とは

ikumoriプロジェクトでは、「エシカルインテリア」として製品をご紹介しています。ではこの「エシカル」とは何を意味するのでしょうか。
エシカルは英語でethicalとつづり、日本語では「倫理的な」「道徳的な」を意味します。「エシカル消費」という単語として聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
「エシカル消費」は法的な定義があるわけではありませんが、環境や人(人権)、地域社会、アニマルウェルフェア(動物の福祉)を大切にした消費を意味します。
イギリスのNGO「Ethical Consumer」が1989年に、消費者が環境や社会を大切にした商品選びができるよう『エシカルコンシューマー(Ethical Consumer)』​​という雑誌を創刊したことがはじまりです。消費者庁でも消費者基本計画の中で、倫理的消費とは「地域の活性化や雇用なども含む、人や社会・環境に配慮した消費行動」と定義​​し、エシカル消費の推進に取り組んでいます。

エシカル消費の認知度は上昇中

一般消費者の認知度はどうなのでしょうか。
電通が行った2022年の調査によると、前回調査(2020年)と比較して、「エシカル消費」について知っている人は約17%伸びて41.1%になりました*1。意味まで知っている人は6.9%と1割に満たないものの、意味を伝えた上で再度質問したところ、やってみたいと回答した人は約4割になりました。一般的な認知度は高まりつつあり、具体的な行動に向けた関心も高まっているといえそうです。
木材製品を選ぶこともエシカル消費の一つと言えます。その主な理由をご紹介します。

木材製品を選ぶ3つの意義

  • CO2の吸収源の維持

まずは、CO2の吸収源となる森林を育む点があります。
木は光合成の際に二酸化炭素を吸収して炭素を体内に固定する働きがあります。しかし、多くの木が一定の樹齢になると吸収量は低下します。ですので、植えっぱなしにするのではなく、伐採適齢期になったら伐採し、再び苗木を植えることが重要です。
森林は年間あたり、米国の年間CO2排出量の1.5倍にあたる約156億トンものCO2を吸収すると試算されています*2。木材製品を使うことで森林吸収源を維持し続けていくことは気候変動の緩和に役立つ消費と言えるでしょう。

  • CO2を貯めておく機能

もう一つの意義としては、森林の「貯留」機能があります。木は年月を経るにつれ、だんだんCO2を吸収する力は弱まりますが、逆に、貯めていく量は増えていきます。伐採した後も木材の中にCO2が閉じ込められており、燃やさない限りは大気中にCO2が排出されません。
そのため、近年、木材を使った建築物が見直されています。例えば木造住宅は鉄骨プレハブ住宅や鉄筋コンクリート住宅と比べて約4倍の炭素を貯蔵すると試算されています*3。また、製造工程においても、エネルギーの使用量が少なく、排出するCO2は木造住宅の場合、鉄筋コンクリートの約4分の1と試算されています*2。

最近では、耐震や耐火性を強化する技術も開発され、高層の木造ビルも建設されるようになってきました。2026年にはシドニーに、地上39階建て、高さ182メートルにもおよぶ、世界最高高の木造ハイブリッドビルが建設されます*4。木材を多く使用する木造ビルは、今後、脱炭素をはかる手段として世界スタンダートになっていくのかもしれませんね。

林野庁から炭素貯留量の計算や表示ガイドラインが出されているので、関心のある方はご覧になってみてください。

「建築物に利用した木材に係る炭素貯蔵量の表示に関するガイドライン」について:林野庁https://www.rinya.maff.go.jp/j/press/mokusan/211001.html

  • 生物多様性保全に貢献

森林は多くの生き物を育む場でもあり、ある調査によると森林には陸上生物の約8割が生息すると試算されています*5。2022年に開催された生物多様性条約第15回締約国会議では、2030年までに、陸と海の3割を保全する30by30(サーティーバイサーティー)が目標の一つに掲げられました。森林を使いながらも保全を行なっていくことが今後ますます重要になるでしょう。
この他にも、森林には、スポンジのように水を蓄え、ゆっくりと地下に浸透させていく水源涵養機能や土壌保全機能、ヒートアイランドの緩和といった機能もあります。森林を守りながら使っていくことは、森林の多様な恵みを育んでいくことにつながります。

合法的な木材の選択を

しかし、木材であればなんでもエシカル、というわけではありません。各国の法令を守らずに伐採する「違法伐採」が世界の15から30%を占め、違法伐採の撲滅は国際的な課題になっています。
日本でも違法伐採の流通を防ぐ「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律(通称「クリーンウッド法」)」にもとづき、輸出入業者は木材の合法性を証明書で確認することが2025年から義務化される予定です。

合法性の確保は最低限必要なことですが、その他にも森林認証などを利用しながら、労働者の人権尊重なども含めた取り組みをしている木材製品を選んでいくことが重要です。詳しく知りたい方は「SDGsに配慮した、森の豊かさを育む木製内装材の選び方-SDGs目標15,13,12にも貢献するには-」(こちら)をご覧ください。

木を使うと環境によくないのではないか、というイメージをお持ちの方もおられるかもしれません。ご紹介したように木であればすべてエシカルというわけではありませんが、環境や社会に配慮した木材を選んで使うことは、森林の更新を促し、CO2の吸収量を維持するといったメリットがあります。

ぜひ内装材を選ぶ際には、木材製品の選択を考えてみてください。

ikumori製品は、北海道の広葉樹を使用し、使った量に見合う広葉樹を、地元北海道で木材にかかわる様々な事業者や製品のユーザーと一緒に植樹しています。植樹する樹木の種類も地元北海道で生産された、広葉樹の苗木を選択し、生物多様性にも配慮しています。

広葉樹は特に、鳥や昆虫など多くの生物種を育むと言われており、ikumoriプロジェクトでも広葉樹を増やすことで生態系の保全も行なっていければと考えています。

2022年の第2回植樹祭では初の生物調査も実施し、子どもたちと一緒に多くの生き物を見つけることができました(詳しくはこちら)。生物多様性は、CO2削減とは違い、保全や再生に時間がかかり、また、簡単に代替できるものではありません。だからこそ、生物の多様性を高める可能性のある広葉樹を地道に増やしていくことが重要ではないかと考えています。

これからも皆様にikumori製品を使っていただきながら、北海道の地に豊かな広葉樹の森を育んでいきたいと思っています。ikumoriの森の成長の様子もお届けしていくのでぜひ楽しみにしていてください。

*1 電通、「エシカル消費 意識調査2022」https://www.dentsu.co.jp/news/release/2022/0620-010527.html

*2 https://www.wri.org/insights/forests-absorb-twice-much-carbon-they-emit-each-year

*3 令和元年度 森林・林業白書,第1部 第3章 第2節 木材利用の動向(1)/(木材利用は地球温暖化の防止にも貢献)
https://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/r1hakusyo_h/all/chap3_2_1.html

*4 現地の大手不動産会社であるDexusから、株式会社大林組が、オーストラリアの「Built Pty Ltd」との共同企業体において、受注する形で建設される。https://www.obayashi.co.jp/news/detail/news20220824_1.html

*5 UNFF(2009) Forests and biodiversity conservation, including protected areas. Report of the Secretary-General. E/CN.18/2009/6 : 5.

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